輸入食品が大量在庫になりやすい理由とは
「なぜ輸入食品は、気づいたときには“トン単位”“パレット単位”で余ってしまうのか」
これは、
仕入れ判断のミスというよりも、
輸入という仕組みそのものが内包しているリスク による部分が非常に大きい問題です。
現場でよく起きている実態を、順を追って説明します。
① 発注から納品までのリードタイムが長すぎる
輸入食品の最大の特徴は、
「今の需要を見て仕入れる」ことができない 点です。
多くの輸入食品では、
- 発注
- 海外工場での製造・出荷
- 海上輸送
- 通関
- 国内倉庫への納品
までに、数か月単位の時間 がかかります。
そのため、
- 発注時点では好調だった商品が
- 到着時には需要が落ちている
というズレが、どうしても発生します。
これは判断の甘さではなく、
時間差ビジネスの構造的な宿命 と言えます。
② 輸入ロットが大きく、細かい調整ができない
輸入食品は、
- コンテナ単位
- パレット単位
- 工場の最小ロット単位
での発注が基本です。
国内仕入れのように、
- 少しだけ追加
- 売れ行きを見て調整
といったことができません。
結果として、
「少なめに頼むと欠品が怖い」
「欠品は取引先との信頼に関わる」
という判断から、
どうしても“多め発注”になりがち です。
その“安全側の判断”が、
そのまま大量在庫につながるケースは非常に多く見られます。
③ 為替・原価変動で販売計画が崩れる
輸入食品は、為替の影響を強く受けます。
- 円安で原価が上がる
- 想定していた販売価格が合わなくなる
- 取引先が価格改定を嫌がる
こうした状況になると、
- 発注済みの商品は届く
- しかし売り先が決まらない
という状態が生まれます。
つまり、
「仕入れは止められないが、販売は止まる」
このアンバランスが、
大量在庫を生み出す大きな原因になります。
④ 国内流通に乗せられる賞味期限が実質的に短い
輸入食品は、
- 製造から日本到着までに時間を使う
- 国内に入った時点で、すでに賞味期限が削られている
という特徴があります。
その結果、
- 実質的に流通に使える期間が短い
- 期限が近づくと一気に売りづらくなる
という現象が起こります。
特に業務用・卸流通では、
- 賞味期限◯か月以上残っていないと扱えない
- 切迫品はそもそも商談にならない
というルールを設けている取引先も多く、
賞味期限切迫=実質販売終了 になるケースも珍しくありません。
⑤ 取引先の事情変更がダイレクトに在庫化する
輸入食品は、
- 特定の取引先向け
- 特定の用途向け
- 限定メニュー用
として仕入れられることも多い商品です。
そのため、
- メニュー変更
- 企画中止
- 販売計画の見直し
が起きた瞬間、
出口のない在庫 になりやすいという特徴があります。
国内商品であれば代替販路を探せるケースでも、
輸入食品は、
- 規格
- 表示
- ロット
の関係で、簡単に切り替えられないことが多いのが実情です。
⑥ 「まだ売れるはず」という判断が遅れを生む
輸入食品の在庫対応でよく聞くのが、
- 「もう少し様子を見よう」
- 「まだ売れる可能性がある」
という判断です。
しかし実際には、
- 時間が経つほど賞味期限は減る
- 販路は狭くなる
- 在庫は資金と倉庫を圧迫し続ける
という状況が進行します。
結果として、
気づいたときには
“処理が難しい量”と“厳しい期限”が同時に来る
これが「突然大量在庫になった」と感じる正体です。
⑦ 廃棄以外の選択肢を知らないまま抱え込んでしまう
輸入食品を扱う企業の中には、
- 賞味期限切れ=廃棄
- 余剰在庫=処分
という前提で考えているケースも少なくありません。
しかし実際には、
- 在庫買取
- 余剰在庫の引き取り
- 食品ロス削減を前提とした再流通
といった選択肢が存在します。
それを知らない、
あるいは「相談しても無理だろう」と思い込んでいることで、
結果的に 大量廃棄=大きな損失 につながってしまうケースも多く見受けられます。
まとめ:輸入食品の大量在庫は「誰にでも起こる」
ここまで見てきた通り、
輸入食品の大量在庫は、
- 判断ミス
- 管理不足
だけで起きているわけではありません。
むしろ、
- 輸入というビジネスモデル
- 時間差
- ロットの大きさ
- 流通構造
が重なった結果として、
どの企業にも起こりうる問題 です。
重要なのは、
「在庫が発生しないようにすること」ではなく、
「在庫が発生したときに、廃棄以外の選択肢を持っているか」 です。